大学入試の完全ガイド|仕組み、種類、スケジュールを徹底解説【2026年度版】
大学入試の仕組みが、近年大きく変化しています。2025年度(令和7年度)入試からは、高校の新学習指導要領に対応した「新課程入試」がスタートしました。共通テストにおいて、以下のような変更が加えられています。
- 新教科「情報Ⅰ」が共通テストに追加
- 国語の試験時間が80分から90分に延長、大問も追加
- 数学の科目が再編され、試験時間も延長
- 地歴・公民が再編され、地理総合・歴史総合・公共などの新科目が導入
入試方式も多様化が進んでおり、国公立・私立を問わず「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」などの年内入試の枠が広がっているのが特徴です。
さらに、共通テストにおいてもWEB出願が導入され、受験生本人がオンラインで出願手続きを行う形式に変わりました。受験準備では最新情報の確認がますます重要になっています。
この記事では、大学入試の仕組みと種類、必要な準備について、最新情報を踏まえて解説します。これからの受験準備の参考にしてください。
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大学入試とは?基本の仕組み

大学入試は、志望校や学部、入試の種類によって試験方式や必要な科目など仕組みが大きく異なります。国公立大学と私立大学でも試験内容や出願のルールに違いがあるため、それぞれの特徴を理解したうえで、戦略的に準備を進めることが重要です。
ここから国公立大学・私立大学の入試の特徴など、基本的な仕組みを詳しく解説します。
大学それぞれの入試方式と特徴
はじめに、国公立大学と私立大学の入試の違いについて解説します。
以下の表では、国公立大学と私立大学における主な入試方式の違いやポイントを整理しました。自分に合った受験スタイルを見つけるための参考にしてください。
| 入試方式 | 国公立大学 | 私立大学 |
|---|---|---|
| 一般選抜 | ・共通テスト+個別試験(前期・後期) ・二段階選抜(足切り)あり |
・大学独自の試験(共通テスト利用型もあり) ・科目・日程は大学ごとに異なる |
| 総合型選抜(旧AO入試) | ・私立大に比べて導入率は低め ・面接・志望理由書・活動実績などを重視 ・共通テストを課す場合もある |
・多くの大学で実施 ・書類・面接・プレゼン・課題提出など多様な選考形式 ・併願不可のケースもある |
| 学校推薦型選抜 | ・公募制・指定校制 ・指定校制は基本的に併願不可 ・共通テストを課す場合もある |
・公募制・指定校制 ・指定校制は基本的に併願不可 ・共通テストは不要(2025年時点) |
国公立大学の入試の特徴
国公立大学の入試では、大きく「一般選抜」「総合型選抜」「学校推薦型選抜」の3つに分かれます。
近年は推薦型選抜や総合型選抜の枠が広がってきている傾向がありますが、国公立大学では一般選抜が現在も主流です。
文部科学省の「令和6年度大学入学者選抜実施状況」によると、国公立大学の選抜方式別で見ると約50%が一般選抜を採用しています(図1参照)。また、入学者数の割合でみても国立大学は約80%、公立大学では約70%の入学者が一般選抜で入学をしています(図2参照)。
国公立大学を目指す場合は、一般選抜を前提に受験準備を進めるのが基本と言えます。

図1 出典:令和6年度文部科学省委託調査「大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究」調査報告書(文部科学省)

図2 出典:令和6年度文部科学省委託調査「大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究」調査報告書(文部科学省)
また、国公立大学では「大学入学共通テスト」と、各国公立大学が独自に行う「二次試験(個別学力検査)」の両方を受験するのが基本です。
共通テストは全国一斉に実施されるマークシート方式の試験です。
二次試験は各大学が独自に実施する記述式の試験で、受験する学部・学科ごとに選択科目が設定されているため、志望校が決まっている場合は試験科目を高校で履修しておく必要があります。
私立大学の入試の特徴
私立大学では、大学独自の試験を行う「一般選抜」のほか、共通テストの得点を利用する方式や、推薦型・総合型選抜などの入試方式が用意されています。
私立大学の入学者の割合を選抜方式別にみると「総合型選抜+学校推薦型選抜」による入学者の割合は59.2%と、国公立大と比べて高くなっています(図3参照)。(文部科学省「令和6年度国公私立大学入学者選抜実施状況」より)

図3 出典:文部科学省 令和6年度 国公私立大学入学者選抜実施状況
また、私立大学全体としては、志願者数・入学者数ともに減少傾向にあり、特に一般選抜(大学独自入試)での募集・入学枠が縮小しているという報告もあります。(文部科学省 令和6年度国公私立大学入学者選抜実施状況より)
このように、私立大学では入試方式の多様化が進んでおり、「一般選抜一択」ではないことを念頭に、入試方式ごとの特徴を理解しておくことが重要です。
第一志望の大学の受験機会を増やすためには、早い段階から情報を集め、自分に適した選抜方法を見つけて準備を行うことが大切です。
大学入試の流れ

大学入試は、思っている以上に長期戦です。高校1年生から3年生までの3年間で、段階的に学力を積み上げ、最終的に出願・受験・合格へとつなげていきます。
ここでは、入試本番までの大まかなスケジュールと、国公立・私立大学の試験の流れを整理してみましょう。
高校1年生〜3年生の大学入試までのプロセスは、以下の通りです。
| 学年 | 主な目的・取り組み | ポイント |
|---|---|---|
| 高1 | ・基礎学力の定着 ・模試で現状把握 ・苦手分野の洗い出し |
・授業内容の理解度を深める時期 ・英数国を中心に「教科書の例題」を完璧にすることが重要 |
| 高2 | ・応用力の養成 ・志望校を意識した科目選択 ・模試で偏差値確認 |
・苦手分野を克服し、得意科目を伸ばす時期 ・共通テスト形式の問題にも慣れ始める |
| 高3 | ・本格受験シーズン ・過去問演習 ・出願戦略の最終決定 ・出願、受験 ・合格発表、入学手続き |
・過去問で実戦力を鍛え、模試の結果をもとに志望校を最終決定 ・出願から合格発表まで一気に進む |
大学入試は、国公立大学と私立大学で仕組みが大きく異なります。どちらを志望するかで、共通テストの位置づけや出願戦略が変わるため、早めに理解しておくことが大切です。
国公立大学(一般選抜)の入試の流れ
国公立大学の一般選抜の入試は、以下のような流れが一般的です。
- 出願:志望校の募集要項に従って、必要書類を提出
- 入試:共通テストや大学ごとの個別試験を受験
- 合格発表:試験結果に基づいて合否が通知される
- 入学手続き:合格した大学に対して入学金の納付や書類提出を行う

国公立大学入試の出願は、以下のステップで進めます。
- 志望校を決定する
- 出願書類を準備する(調査書、志望理由書など)
- 共通テストの出願を行う
- 共通テスト終了後、各大学の指定期間内に二次試験の出願手続きを行う
出願書類の準備には時間がかかるため、早めの情報収集とスケジュール管理が重要です。オープンキャンパスなどへの参加を活用しましょう。
国公立大学では、共通テストと各大学の二次試験、2回の出願が必要です。共通テストは高3の秋(9月中旬~10月上旬)に締め切られるため注意しましょう。
また共通テストが終わった後に、二次試験の出願(前期・後期ともに)が始まります。出願期間は短いため、事前準備が不可欠です。
| 試験区分 | 出願時期 | 実施時期 |
|---|---|---|
| 共通テスト | 9月中旬〜10月上旬 | 1月中旬 |
| 国公立大学 二次試験 | 1月下旬~2月上旬 | 2月下旬〜3月中旬 |
二次試験終了後に、合格発表が行われます(前期は3月上旬・後期は3月下旬)。
合格後は速やかに入学手続きを行い、入学金などを入金します。
大学の入学手続きには締め切りが決まっています。入学金の支払いが遅れたり、必要な書類を期限までに提出できないと、原則として入学が取り消されてしまいます。
ただし、多くの大学では募集要項に明記されているとおり、災害や体調不良などのやむを得ない事情がある場合には、個別に対応してもらえることもあります。
発表後はすぐに対応できるよう、事前に準備しておくことが大切です。各大学の日程や方式の詳細は、必ず公式情報を確認しましょう。
私立大学(一般選抜)の入試の流れ
続いて、私立大学の一般選抜の大まかな流れを解説します。
- 出願
志望校の募集要項に従って、必要書類を提出
共通テスト利用入試は国公立大学志望者と同じく9月に共通テストに出願 - 入試
共通テストや大学ごとの個別試験を受験
- 合格発表
試験結果に基づいて合否が通知される - 入学手続き
合格した大学に対して入学金の納付や書類提出を行う

私立大学は、同じ大学でも入試方式によって出願時期が異なります。複数の方式を併願する場合は、スケジュールの重複に注意しましょう。
一般的な出願時期は以下の通りです。
| 試験区分 | 出願時期 | 実施時期 |
|---|---|---|
| 共通テスト利用方式 | 9月中旬〜10月上旬 | 1月中旬 |
| 私立大学 一般選抜 | 12月下旬~2月が目安 | 1月〜2月が目安(大学・方式によって異なる) |
国公立大学同様、合格後の入学手続きには締め切りがあるため、発表後すぐに対応できるように入学金などを準備しておくことが大切です。
各大学の日程や方式の詳細については、必ず公式情報を確認してください。
国公立大学・私立大学それぞれの出願の違い
国公立大学と私立大学では、出願のルールに違いがあります。ここでは一般選抜の出願を例にして、それぞれの出願の違いについて解説します。
国公立大学の出願について
国公立大学では、原則として「前期日程1校+後期日程1校」の最大2校までしか出願できません(一部の大学では中期日程を設けている場合もありますが、実施校は限られています)。
前期・後期の最大2回チャンスがありますが、前期で合格し入学手続きを完了した場合は、後期試験(中期試験も)受験すること自体はできても、合格はできない仕組みになっています。また後期の募集は少なく、倍率が前期よりも高くなり、必然的に難易度も上昇します。
このため、国公立大学の受験戦略としては「本命校を前期に、滑り止めを後期に」設定するケースが一般的といえるでしょう。
なお、国公立大学の入試では、志願者数が規定を超えて倍率が著しく高くなった場合に、「二段階選抜」と呼ばれる制度が適用されることがあります。これは一般的に「足切り」とも呼ばれています。
二段階選抜が実施される場合、大学入学共通テストの得点を基準に、二次試験(個別試験)を受験できるかどうかが判断されます。つまり、共通テストの得点が一定の基準に達していない場合、二次試験の受験資格が得られない可能性があります。
足切りの対象にならないためには、志望校の過去の二段階選抜実施状況や各予備校の出す共通テストの結果予想や出願予想を確認し、自身の志望大学が足切りを実施するかどうかの予測をもとに、出願するかどうかを決めることが重要です。
スクロールできます⇔
| 試験区分 | 項目 | 内容 | |
|---|---|---|---|
| (第1次試験)大学入学共通テスト | 出願受付 | 出願内容の登録 2025年9月16日(火)10:00~ 10月3日(金)17:00まで 検定料等の支払い 2025年9月16日(火)10:00~ 10月3日(金)23:59まで |
|
| 試験日 | 2026年1月17日(土)・18日(日) | ||
| (第2次試験)個別試験 | 出願受付 | 2026年1月26日(月)~2月4日(水) | |
| 【前期日程】 | 試験日 | 2026年2月25日(水)から | |
| 合格発表 | 2026年3月6日(金)~3月10日(火) | ||
| 入学手続前期締切期日 | 2026年3月15日(日) | ||
| 【後期日程】 | 試験日 | 2026年3月12日(木)以降 | |
| 合格発表 | 2026年3月20日(金)~3月24日(火) | ||
| 入学手続第1次締切期日 | 2026年3月27日(金) | ||
| 【追加合格者】 | 合格者の決定 | 2026年3月28日(土)から | |
| 入学手続第2次締切期日 | 2026年3月31日(火) | ||
※必ず最新の公式情報をご確認ください
(出典)独立行政法人 大学入試センター 令和8年度試験
私立大学の出願について
私立大学は、出願の自由度が高く、戦略の幅が広いことが特徴です。私立大学の出願の特徴は、以下の通りです。
- 各大学が独自に入試を実施
- 共通テスト利用方式や大学独自試験方式など、複数の方式がある
- 併願が自由で、複数の大学・学部に出願可能
- 同じ大学でも「学部を変える」「入試方式を変える」ことで複数出願できる
また、私立大学には併願可能な公募推薦を設けているケースもあります。
難関私大(早稲田・慶應など)は、入試方式が豊富で出願チャンスが多いのが特徴です。中堅私大では「併願割引制度」や「入学金免除」などの制度があります。
これらの制度を活用することで、費用面や受験回数の負担を軽減しながら、合格の可能性を広げることができます。
大学入試の種類と特徴

大学入試の方式には異なる特徴があり、受験生の志望校や学力、個性に応じて選択することができます。
| 入試の種類 | 特徴 | 評価のポイント |
|---|---|---|
| 一般選抜 | 学力試験の得点で合否が決まる | 共通テストや個別試験の得点 |
| 総合型選抜 (旧AO入試) |
大学が求める学生像との適合性で判断される | 志望理由、活動実績、プレゼンテーション、面接、小論文など |
| 学校推薦型選抜 (推薦入試) 公募制 |
出願条件を満たせば誰でも出願できる | 評定平均値、課外活動や実績など |
| 学校推薦型選抜 (推薦入試) 指定校制 |
大学からの指定を受けた高校の生徒が出願できる 出願できれば合格確率はとても高い |
評定平均値、課外活動や実績など |
それぞれの入試方式には、試験内容や評価基準、出願条件などに違いがあるため、自分に合った方式を見極めることが、受験戦略を立てるうえで非常に重要です。
文部科学省が令和7年2月に公表した『大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究 調査報告書』によると、これら3つの選抜方式が大学全体の選抜区分数の86.9%を占めており、大学入試の中心的な枠組みとなっていることがわかります。
一般選抜が最も大きな割合を占めていますが、学校推薦型や総合型も年々拡大傾向にあり、多様な評価軸で学生を受け入れる動きが進んでいます。
ここからは、それぞれの選抜方式の特徴について詳しく見ていきましょう。
一般選抜(一般入試)
大学入学共通テストや各大学独自の学力試験の成績を、主な評価基準として合否が決まる入試方式
国公立大学の一般選抜では「大学入学共通テスト」と、各大学が実施する「二次試験」の両方を受験するのが一般的です。
共通テストでは多くの教科が課されることが多く、大学によっては二次試験で課される教科数も多い傾向があります。
一方、私立大学の一般選抜では大学独自の試験が行われることが多くなっています。多くは2教科または3教科で受験しますが、1教科受験を実施している大学もあります。
試験の実施時期は大学により異なりますが、1月下旬~2月下旬に行われることがほとんどです。特に2月は国公立大学の前期日程や多くの私立大学の入試が集中しています。
一般選抜のメリット、デメリットは以下の通りです。
- 誰でも出願できる
- 評定平均や学校長からの推薦は不要
- 学力次第で合格を狙える
一般選抜のメリットは、評定平均や学校長からの推薦が不要で、誰でも出願できる点です。学力に自信があれば、実力次第で合格を狙えるチャンスがあります。
- 競争率が高い
- 入試本番の一発勝負になりやすい
- 大学の学部・学科によって受験科目、試験形式が異なる
一方で一般選抜は、人気のある大学や学部は競争率が高いことも多く、本番の一発勝負で実力を出し切らなければならないというデメリットもあります。
また大学や学部、学科によって受験科目が異なり、マークシート方式、記述式など試験の形式もさまざまで、受験対策にも影響が出ることがあります。
総合型選抜(旧AO入試)
学力試験の得点だけでなく、受験生の人物像や意欲、適性などを総合的に評価する入試方式
大学・学部のアドミッション・ポリシー(※)に合致する優れた人材を発掘することを目的としています。
※大学や学部の掲げる教育理念などに応じて受験生に能力や適性を求めたもの、またそれを示したもの。出題内容などに反映される
総合型選抜では、「大学が求める学生像に合っているかどうか」を重視するため、従来の一般入試とは異なる選考基準が用いられます。
たとえば、志望理由書や活動実績などの書類審査に加え、面接、小論文、プレゼンテーションなどが含まれます。大学によっては資格取得や、独自の課題が課されることもあります。
総合型選抜のメリット、デメリットは以下の通りです。
- 受験時期は年内(9月〜11月)が中心で進路の見通しが立てやすい
- 高校の学業成績以外の強みを活かせる
- 一般選抜より倍率が低い大学や学部もある
総合型選抜のメリットは、受験時期が一般選抜より早い9月から11月が中心であることです。年内に合否が決まることが多いため、進路の見通しが立てやすく、卒業前の時期を余裕をもって有意義に過ごせます。
また高校の成績以外の強みも活かせるのが特徴です。部活動の実績やボランティア活動、資格取得なども積極的にアピールできるのが魅力と言えます。
一般選抜では高い競争倍率の大学や学部でも、総合型選抜ではそれより倍率が低いケースも見られます。第一志望に偏差値が不足している場合、総合型選抜での合格を狙う方法もあります。
- 準備に手間がかかる
- 一般選抜の受験準備と重なると両方の準備が不十分になるおそれがある
一方で総合型選抜は、志望理由書や面接・小論文対策など、事前準備に十分な時間をかける必要がある点に注意が必要です。
また、仮に総合型選抜で不合格になった場合、一般選抜を受験することになるため、総合型選抜の準備と一般選抜の準備を同時進行で進めなければなりません。
一般選抜のみの生徒と比べるとやるべきことが増えてしまうため、どちらの準備も中途半端になるおそれがあります。早い段階から決断して準備を進めていくことが大切です。
学校推薦型選抜
高校(学校長)からの推薦を受けて出願する入試方式
この方式には主に2つの種類があります。
公募制推薦
「公募制推薦」は全国の高校生を対象に募集されます。出願には、評定平均などの基準が設けられていますが、基本的には出願条件を満たしていれば、誰でも出願することが可能です。ただし、指定校推薦ほど合格率は高くありません。
公募制推薦のメリット、デメリットは以下の通りです。
- 出願条件を満たしていれば出願可能なため受験機会が広がる
- 高校の成績や学業以外の活動実績を活かせる
- 一般選抜より早期に合否が判明するケースが多い
公募制推薦のメリットは、出願条件を満たしていれば誰でも応募できるため、特定の高校に限定されず幅広い受験生にチャンスがあることです。
総合型選抜と同じく一般選抜よりも早い時期に合否が判明するケースが多いことから、進路の見通しを立てやすくなります。
高校の成績だけでなく、部活動や資格取得など学業以外の活動実績を評価される点も魅力です。
- 高1からの継続的な努力と実績の積み重ねが必要
- 合格後に辞退ができないケースもある
一方で、高校1年生からの学習態度や成績が重視されるため、継続的な努力が求められます。また合格後に辞退できないケースもあり、他大学との併願が難しくなる場合があるため、出願時には慎重な判断が必要です。
指定校推薦
「指定校推薦」とは、大学が特定の高校に推薦枠を設けているものです。
選考では、評定平均や調査書の内容に加え、面接や小論文などが重視されます。受験時期は11月から12月が中心で、一般選抜よりも早く結果が出るのが特徴です。
指定校推薦のメリット、デメリットは以下の通りです。
- 早期に合格が決まるため、進路の不安が軽減される
- 合格率が高い傾向がある
指定校推薦のメリットは、総合型選抜や公募制推薦選抜同様、一般選抜よりも早い時期に合否が判明するため進路の見通しを立てやすくなることです。また指定校推薦を高校から受けられれば、ほぼその時点で合格が見込める傾向があります。
大学と高校の信頼関係をもとにした選抜方法といえるでしょう。高校から推薦を受けた場合は、高い確率で合格できます。通常は一定以上の評定平均値が必要です(主要5教科4.3以上など)。
- 高校3年間の成績が重視されるため、日頃の学習態度や成績の維持が重要
- 合格後は基本的に辞退できない
一方、指定校推薦も公募制推薦と同様かそれ以上に、高校3年間における評定平均値で高い数字が求められます。また辞退した場合は、次年度からのその高校への指定校推薦枠が取り消されるなどの懸念もあるため、出願の際は十分な検討が必要です。
大学入学共通テスト利用入試
大学入学共通テストの成績を合否判定に活用する入試方式
大学入学共通テスト利用入試は、特に多くの私立大学で採用されており、受験生が大学独自の学力試験を受けずに複数校へ出願できるメリットがあります。
この方式には大きく2つのタイプがあります。1つ目は「共通テストの成績のみで合否を判定する“単独型”」。2つ目「共通テストの成績に大学独自の試験(小論文・面接・口述など)を併せて合否を判定する“併用型”」です。
出願を検討する際には、志望大学・学部がどちらのタイプを採用しているかを必ず確認しておきましょう。
また、共通テストそのものは全問マークシート方式で実施されており、記述式問題は含まれていません。そのため「共通テスト利用入試=マーク方式主体」と言えます。ただし、併用型で大学独自の試験が課される場合には、記述式や面接などが追加されるケースがあります。
共通テスト利用入試の主なメリット、デメリットは以下の通りです。
- 複数の大学に同時出願しやすい
- 滑り止めとして活用しやすい
- 移動や受験の負担が少ない
共通テスト利用入試のメリットは、試験日が他大学の個別入試と重ならず、1回の受験で複数の大学に同時出願しやすい点です。1回の受験で済むので移動や受験の負担が少ない点も、忙しい受験生にとってはメリットといえるでしょう。
共通テストの結果が非常に良かった場合などは、合格得点圏になっている大学へ出願するなど、滑り止めとしての活用もしやすくなります。
- 一度きりの試験の結果が合否に直結する
- 個別試験のように再チャレンジの機会がない
一方で、共通テストの一度きりの結果がそのまま合否に直結するため、当日の出来に大きく左右されるリスクがあります。個別試験のように再チャレンジの機会がない点にも注意が必要です。
共通テストの出題教科と科目
2025年度からの共通テストでは、新課程に対応した科目構成や試験時間の変更が行われています。共通テストの出題教科と科目は以下の通りです(2025年10月時点)。
| 出題教科 | 出題科目 |
|---|---|
| 地理歴史 公民 |
『地理総合、地理探究』 『歴史総合、日本史探究』 『歴史総合、世界史探究』 『公共、倫理』『公共、政治・経済』 『地理総合/歴史総合/公共』(注1) |
| 国語 | 『国語』 |
| 外国語 | 『英語』『ドイツ語』『フランス語』 『中国語』『韓国語』 英語はリーディング・リスニング試験あり ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語は筆記試験あり |
| 理科 | 『物理基礎/化学基礎/生物基礎/ 地学基礎』(注 1) 『物理』『化学』『生物』『地学』 |
| 数学1 | 『数学Ⅰ、数学 A』『数学Ⅰ』 |
| 数学2 | 『数学Ⅱ、数学 B、数学 C』 |
| 情報 | 『情報Ⅰ』 |
(出典)令和8年度大学入学者選抜に係る 大学入学共通テスト実施要項
(注1) 『地理総合/歴史総合/公共』を選択する場合は、「地理総合」「歴史総合」「公共」の三つの出題範囲のうちから、必ず二つの出題範囲を選択し解答する。
『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』を選択する場合は、「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の四つの出題範囲のうちから、必ず二つの出題範囲を選択し解答する。
国語では試験時間が10分延長され90分となり、大問数が5問に増加しました。新たに「実用的文章」が加わり、近代以降の文章の配点も110点に引き上げられています。
数学2ではⅡ・B・Cが1科目となるほか試験時間が60分から70分に変更され、より深い理解と処理力が求められる構成となっています。
英語(リーディング)は80分の試験時間が設定されました。
そして、新教科として「情報Ⅰ」が出題科目に追加され、試験時間は60分、配点は100点とされています。
これらの変更により、受験生にはこれまでよりも幅広い学力と思考力、柔軟な対応力が求められるようになっています。
その他
一般的な大学入試とは異なり、特定の対象者に向けて実施される入試方式も存在します。これらは、個別の背景や経験を持つ受験生に配慮した制度であり、大学が多様な人材を受け入れるための門戸となっています。
帰国子女入試
海外での教育歴を持つ生徒を対象とした入試で、語学力や国際経験が評価されます。出願には滞在年数や就学年数などの条件があり、大学ごとに要件が異なるため、事前の確認が重要です。
社会人入試
すでに就業経験を持つ人を対象とした入試で、キャリアチェンジや学び直し(リカレント教育)を目的とするケースが多く見られます。選考では、小論文や面接に加え、職務経歴が重視されるのが特徴です。
編入学試験
短期大学、高等専門学校、専門学校などで必要な単位を取得した人が、大学の2年次または3年次に編入するための制度です。試験科目には英語、専門科目、小論文、面接などが含まれることが多く、学力と専門性の両方が問われます。
大学入試に必要な準備とは?

大学入試は「何を・いつまでに・どう準備するか」を明確にして対策を行うことが合格への第一歩となります。
ここでは、入試に向けて押さえておきたい準備のポイントをわかりやすく解説していきます。大学入試を成功させる「早めの準備」のための参考にしてください。
学力面の対策
大学入試に向けた学力面の対策は、段階的かつ戦略的に進めることが重要です。基礎学力の定着から応用力の養成、科目ごとの学習計画まで、目的に応じた取り組みが求められます。
高校1〜2年生の段階では、各教科の基礎をしっかり固めることが最優先です。基礎が不十分なまま受験期に突入すると、応用問題への対応が難しくなります。
高校3年生では、過去問や演習問題を活用しながら、応用力と思考力を高めていく段階に入ります。以下の対策をすることを心がけましょう。
- 過去問演習による出題傾向の把握
- 思考力を問う問題への対応力の強化
- 時間配分や解答プロセスの訓練
特に共通テストでは、近年は単なる知識だけではなく、長文や資料から思考力や判断力を問う問題が増えているため、実戦的な対策が必要です。
科目ごとの対策としては、「苦手科目の克服」「得意科目の強化」「入試に合わせた学習スケジュールや分量の調整」が大切です。
- 苦手科目は基礎から見直し、重点的に対策
- 得意科目は応用問題で得点力を強化
- 志望校の入試科目や配点に合わせた優先順位の設定
模試の活用方法
模擬試験(模試)は、大学受験に向けた学力の確認や志望校選びに欠かせない重要なツールです。単に受けるだけでなく、目的を明確にし結果を学習に活かすことで、受験対策の質を高めることができます。
模試の主な目的は、以下の3点です。
- 学力の現状把握
自分の得意・不得意を客観的に知り、志望校の判定に役立てる - 志望校判定
現在の成績でどの大学に届くか、志望大学への距離は現状どの程度かを確認できる - 弱点分析
科目別の得点や設問ごとの正答率から、重点的に対策すべき分野が見える - 実践的なアウトプットの場所
本番の試験形式への慣れや時間配分の最適化など、実戦力を鍛える
受けっぱなしではなく、模試から得られた情報をもとに自分に合った効率的な学習計画を立てることが大切です。
また模試は学年によって目的が異なるため、適切なタイミング、回数で受験することが重要です。
- 高校1~2年生
基礎学力の確認や学習習慣の定着を目的に、年数回の受験がおすすめ - 高校3年生
志望校判定や最終調整のため、定期的に受験し、結果をもとに戦略を練る
偏差値は模試ごとに算出されているため、受験者層や母数によって異なります。そのため、別の模試で偏差値を比較することにほとんど意味はありません。
模試を利用する場合は、メインとなる模試を決め、それを定期的に受験して、自分の学力の推移をみることが大切です。
なお、模試には「冠模試」と呼ばれる、大学名を冠した模試もあります。その大学を第一志望とする受験者が集まるため、実際の受験に近い結果を得られ、自分の立ち位置などを知ることができます。定期的に受ける模試に加えて受験を検討してみましょう。
河野塾では「KONO模試」という、共通テスト型の模試を実施しています。
学年を問わず誰でも受験可能で、オンライン形式なので自宅から気軽にチャレンジできます。さらに、結果は即日で確認でき、動画による丁寧な解説付きなので復習もスムーズに進められます。
出願の仕組みを理解して戦略を立てる
大学受験では、出願の仕組みを正しく理解し、自分に合った戦略を立てることが合格への近道です。併願の組み方や志望校の選び方、国公立大学・私立大学それぞれの出願制度を踏まえて、計画的に準備を進めましょう。
なお、出願には出願料(受験料)がかかります。大学入学共通テストは18,000円、国公立大学の2次試験は1校あたり約17,000円、私立大学の一般入試は1校あたり30,000円から35,000円程度が目安です。
複数校に出願する場合は費用がかさむため、予算も考慮して併願パターンを検討することが大切です。
併願パターンの種類を知る
受験生の多くは、複数の大学・方式を組み合わせて出願します。代表的な併願パターンには以下のようなものがあります。
- 国公立本命+私立安全校
国公立大学を第一志望にしつつ、私立大学を滑り止めとして出願 - 私立複数併願パターン
私立大学を複数受験し、合格の可能性を広げる - 推薦・総合型+一般入試
早期入試で合格を狙いつつ、一般入試も視野に入れる
併願の組み方によって、受験スケジュールや準備内容が大きく変わるため、早めの戦略設計が重要です。
志望校の決め方
志望校を選ぶ際は、学力だけでなく、将来の進路や現実的に通えるか、学費を支払えるかなども含めて総合的に判断することが大切です。
- 偏差値や合格可能性
- 入試科目や配点のバランス
- 学費や通学圏、キャンパス環境
- 将来の進路や学びたい分野との相性
金銭的な問題については、奨学金を利用するなどの方法もあります。目指す大学に合格したのに学費が払えないとなると悔やむことになります。
偏差値やイメージだけでなく、オープンキャンパスなどに積極的に参加し、自分の目で見て志望校を決めましょう。
安全校・挑戦校・本命校の考え方
出願校は、合格可能性や志望度に応じたタイプに分けて考えると戦略が立てやすくなります。以下の3つの分類をもとに、併願校の組み合わせや優先順位を整理しましょう。
- 安全校:合格可能性が高く、安心して出願できる大学
- 挑戦校:合格可能性は低めだが、目標としてチャレンジしたい大学
- 本命校:最も志望度が高く、第一志望として受験する大学
ただし、偏差値だけで判断し過去問対策を行っていないと、安全校と思っていた大学に不合格だったということになりかねません。「滑り止め」であったとしても、必ず過去問対策は行いましょう。
なお、志望校を決めるとき、出題傾向が似た大学を選ぶと、対策にかける時間をある程度統合することができます。傾向の似ている大学を知るためにも、過去問には必ず目を通し、学校や塾の先生のアドバイスを受けましょう。
面接・小論文対策
面接や小論文は、総合型選抜や学校推薦型選抜を中心に、多くの大学入試で重視される評価項目です。
学力試験とは異なり、受験生の表現力や思考力、論理性、人柄や志望動機などがみられるため、事前の準備が合否に大きく影響します。
以下のような入試で、面接や小論文が課されることが多くあります。
- 総合型選抜(旧AO入試)
- 学校推薦型選抜(公募制・指定校推薦)
- 一部の私立大学の一般入試(特に医療、教育系など)
ここからは、具体的な面接対策や小論文対策を解説します。
面接対策
面接では、受験生の志望理由や与えられた課題のプレゼンテーション能力、そのほか人柄、コミュニケーション力などが評価されます。緊張せずに自分の考えを伝えるためには、事前の練習が大切です。
- 想定質問への回答を練習する
- 話し方や態度の確認を行い第三者に評価してもらう
- 志望理由の伝え方を工夫する
面接対策では「内容」だけでなく「伝え方」も重要です。話すスピードや声の大きさ、表情などの印象は合否に影響することもあります。学校や塾の先生、家族に協力してもらい、本番を想定した模擬面接を行うと効果的です。カメラで録画して振り返るのもおすすめです。
小論文対策
小論文では、与えられたテーマに対して論理的に考え、自分の意見を文章で表現する力が求められます。構成力と時間管理がポイントです。
- 出題テーマの把握
- 構成作成の練習
- 時間配分と字数管理
小論文対策では、知識の暗記よりも「自分の考えを筋道立てて説明する力」が重視されます。新聞記事や時事問題に日頃から触れ、社会的なテーマへの関心を深めておくことも効果的です。
また、書いた文章は先生などに添削してもらい、論理の一貫性や表現の正確さを客観的にチェックしましょう。
大学入試についてよくある質問

ここでは、大学入試に関してよくある疑問、質問に対して解説します。
Q1.共通テストと二次試験の違いは何ですか?
Q2.総合型選抜とAO入試は同じですか?
Q3.大学入試の勉強はいつ始めたらいいですか?
Q4.出願時期はいつが目安ですか?
Q5.出願に必要な書類は何がありますか?
Q6.新課程による2次試験の変更点はありますか?
Q1.共通テストと二次試験の違いは何ですか?
A.共通テストは全国共通の基礎学力を測る試験、二次試験は大学ごとの専門性を評価する個別試験です。
共通テストは、全国の受験生が一斉に受ける標準化された試験で、マークシート形式が中心です。知識だけでなく、思考力・判断力を問う内容へと変化が進んでいます。主に国公立大学の一次選抜に利用され、私立大学でも「共通テスト利用入試」として活用されることが多くなっています。
一方、二次試験は共通テスト後に大学が独自に行う試験で、記述式問題や小論文、面接などを課す場合もあります。大学や学部の特色・求める人物像が強く反映されるのが特徴です。
受験科目は大学や学部によって異なり、変更されることもあるため、必ず最新の募集要項を確認しましょう。
Q2.総合型選抜とAO入試は同じですか?
A.総合型選抜とAO入試は基本的に同じ制度です。
学力試験だけでなく、小論文や面接、活動実績など多面的に評価して合否を決めます。2021年度以降は「AO入試」の名称が廃止され、正式には総合型選抜と呼ばれています。
Q3.大学入試の勉強はいつ始めたらいいですか?
A.大学入試の勉強は、高校1年生から少しずつ基礎を固めるのが理想です。
特に英語や数学は積み重ねが重要なので、早めの学習で基礎力を養い、高2・高3で応用力や過去問演習に取り組むと効率的に得点力を伸ばせます。
Q4.出願時期はいつが目安ですか?
A.出願時期は入試方式や大学によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 総合型選抜、学校推薦型選抜:例年9月〜12月
- 私立大学の一般入試:例年1月〜3月
- 共通テスト利用方式(私立):例年12月中旬〜2月上旬
- 国公立大学(前期日程):共通テスト後の1月下旬以降
- 国公立大学(後期日程):前期日程と同時に出願
出願期間は大学ごとに異なるため、公式情報を早めに確認しておくことが大切です。また公式情報も、実際の入試日に近づくにつれ変更されることもあるため、志望大学の入学試験要項は定期的に確認しましょう。
Q5.出願に必要な書類は何がありますか?
A.出願時に必要な書類は、入試方式によって異なりますが、一般的には以下のようなものが求められます。
- 調査書(高校が作成する成績証明書)
- 志望理由書(推薦型・総合型選抜などで必要)
- 出願書類一式(願書、写真、受験料の支払い証明など)
- 活動報告書・資格証明書(必要な場合)
- 推薦書(指定校推薦などに必要な学校長からの推薦書)
大学や方式によって提出書類が異なるため、募集要項をよく確認し、漏れなく準備することが重要です。
なお、近年は出願をオンラインで行うWEB出願を採用する大学が多くなっています(高校からの調査書などは別途郵送が必要)。
WEB出願が採用されている大学では、受験票の出力や合否発表、入学手続きや支払いまで、パソコンやスマートフォン、タブレットでできます。デジタル端末や通信環境を持っていない場合は、学校のパソコンを借りるなど、早めに担任の先生に相談しましょう。
なお、令和8年度共通テストから、すべての志願者においてインターネット利用出願(WEB出願)になります。
Q6.新課程による2次試験の変更点はありますか?
A.新課程により、大学入試の2次試験そのものが全国一律で変わったわけではありません。
ただし、多くの大学では出題範囲や配点、科目構成の見直しが進められています。特に「情報Ⅰ」が必履修科目となったことから、一部大学では入試科目に取り入れる動きがあります。
また、国語や数学など主要科目でも、内容や出題形式を新課程に合わせて変更する大学があります。変更の内容は大学ごとに異なるため、志望校の最新の入試要項を確認することが重要です。
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